Takeshi Ikemoto

医療 × 経営 × テクノロジー

·夜便 3本目·

ChatGPTが動画配信サービスの入口になり始めた

ChatGPTTubiAIプラットフォーム動画配信

一言で言うと

ChatGPTが、検索やアプリを開く前の新しい入口になり始めています。TubiFox傘下の動画配信サービスで、今回の連携は、対話の中からそのまま動画を探す導線が本格化し始めたことを示しています。

何が起きているのか

Fox傘下のストリーミングサービスTubiは、ChatGPT内にネイティブアプリを公開したと発表しました。ユーザーはChatGPTアプリストアからTubiアプリをインストールし、「@Tubi」と入力することで、自然言語でコンテンツを探せるようになります。

例えば、「女子会向けのサスペンス」や「何か面白いもの」といったリクエストに対し、Tubiの30万本以上の映画やテレビ番組から、おすすめが即座に提示されます。NetflixAmazon Prime Videoも自社プラットフォーム内でAIレコメンデーションを試みていますが、Tubiは主要ストリーミングサービスとして初めてChatGPT内に専用の体験を作りました。

Tubiは2023年に自社アプリ内でChatGPTを活用した「Rabbit AI」を導入しましたが、翌年には中止していました。今回は、自社でAI体験を作り込むのではなく、ユーザーがすでに使っているChatGPTの中でサービスを提供する方向へ切り替えた形です。ChatGPTは2月に週あたり9億人のアクティブユーザーを抱え、Tubiは月間1億人以上のアクティブユーザーを報告しています。

AI業界の文脈では

この動きは、AIチャットボットが単なる検索窓ではなく、サービスの入口になり始めていることを示しています。ユーザーはアプリを順番に開くのではなく、まず対話し、その先で必要なサービスへ進むようになるかもしれません。

ストリーミング業界では、コンテンツが多すぎて「何を見るか」を決めること自体が課題です。Tubiはその解決を自社アプリの中だけで完結させるのではなく、ChatGPTという巨大な入口に乗せようとしています。OpenAIは昨年10月にChatGPT内アプリの仕組みを導入し、すでにBooking.comCanvaDoorDashExpediaSpotifyFigmaZillowなどが連携しています。

私の見立て

大事なのは、ChatGPTのような対話画面が、検索の補助ではなくサービス流通の入口になり始めていることです。ユーザーがまず対話し、その後で動画、予約、買い物へ進む流れが広がれば、アプリやサイトの集客構造は変わります。

企業にとって問われるのは、自社アプリの中だけで完結する体験を磨くことではなく、ユーザーが最初に立ち寄る対話画面にどう入り込むかです。特に選択肢が多すぎる業界では、`探しに行く` 体験より `対話の中で絞り込まれる` 体験の方が強くなる可能性があります。

→ 何が変わるか: ユーザーはAIチャットボットを介して多様なサービスにアクセスするようになり、サービス提供者はAIプラットフォームとの連携が新たな顧客接点となります。

→ 何をすべきか: 企業は、自社サービスのAPIChatGPTのような主要AIプラットフォームと連携させる可能性を検討し、AIを介した顧客体験の設計を始めるべきです。