一言で言うと
自分の過去投稿をまとめてClaudeに読ませるだけで、Claudeはその人の書き方や、伸びた投稿(バイラル=一気に拡散して多く読まれた投稿)の特徴をつかみ、再利用できる手順(スキル)として保存できます。AIを専用に作り直す追加学習(ファインチューニング)も、長いプロンプトの作り込みも要りませんでした。AIが一度に読み込める文章量(コンテキストウィンドウ)が大きくなったからこそ、こうした使い方が現実になっています。
何が起きているのか
LinkedIn 34万フォロワーを持つコンテンツクリエイター・Ruben Hassid氏が、自身の投稿489件を取得してClaudeで分析する手順を公開しました。
手順は次の4段階です。
1. 投稿を集める: Apifyというデータ取得サービス(初回$5クレジット付き無料枠)で自分のLinkedIn投稿を一括で集め、表形式のファイル(スプレッドシート)に書き出す。 2. 分析させる: そのファイルをClaudeにアップロードし、どの投稿がどれだけ反応を集めたかの分析レポートと、再現用の手順書(SOP: 標準操作手順書)を作らせる。ここまでで約8〜10分。 3. 手順(スキル)を作る: その分析をもとにClaudeの`/skill-creator`コマンドで、何度でも使える手順(スキル)を組み立てる。質問にいくつか答えると、反応が取れそうな投稿案を複数出してくれる。 4. ひな形を追加する: 過去によく読まれた投稿の画面写真を使い、「冒頭のつかみ・構成・口調」のひな形を取り出す手順を追加で作る。
Ruben Hassid氏自身のデータでは、489件の投稿が分析対象で、コミュニティ(Circle)には3,700名が$200/年で参加しています。
AI業界の文脈では
「AIに自分らしい文体を学ばせるには大量の手作業が必要」という前提が、長く共有されてきました。
その前提の根にあったのは「学習=モデルの再訓練」という理解です。ファインチューニングや大量のサンプルプロンプトの作成が必須と見られていたため、個人の文体をAIに移植するコストは高く、実用的ではないと判断されていました。
今回崩れた前提は「データをAIに覚えさせるには作り直しが必要」という部分です。いまの大規模AIは、一度に読み込める文章量(コンテキストウィンドウ)が大きくなり、489投稿分の文章をまとめて受け取れるようになりました。「読ませるだけでよかった」という事実は、この技術的な変化が先にあって初めて成立します。手法そのものが新しいのではなく、前提が崩れる条件がそろったということです。
私の見立て
2つのレンズで読むと、この記事の見方が変わります。
物理・情報量の観点では、手法の核心はシンプルです。489投稿分の文章は、いまの大規模AIが一度に読み込める量に収まります。「自分の過去投稿をまとめて読ませる」という操作が現実的になったのは、この読み込める量が増えたからです。同じ発想はLinkedIn以外でも成立します。自分のnoteやメルマガ、過去のメール文章でも、まとまった量があれば同じ手順が使えます。
インセンティブの観点では一点、割り引いて読む必要があります。Ruben Hassid氏は3,700名×$200/年のコミュニティ収益を持ち、手法の公開が新規会員獲得に直接つながる構造にあります。「この手法は有効だ」という主張と「コミュニティへの誘導」が同一記事に共存している点は意識しておくべきです。投稿数が少ない(30件未満)場合や投稿スタイルが一貫していない場合、パターン抽出の品質は大きく落ちる可能性があることも明示されています。
→ 何が変わるか: 自分が過去に書いた文章の価値が見直されます。発信を続けている人にとって、ためてきた投稿は単なる保存記録ではなく、自分らしい文章をAIに作らせるための材料になります。
→ 何をすべきか: LinkedInに限らず、自分のnote、ブログ、過去のメール文面など、まとまった量(目安30件以上)のテキストデータがあればすぐ試せます。Apifyの無料枠($5)の範囲内で手順のコストは実質ゼロです。Claudeサブスクリプション(月約$20〜$100)の有無だけ確認しておけば、試す障壁はほぼありません。